ZeTＭAN-ゼブンジャー序章15「狂っている」

大男は高らかに「がはは」という笑い声を上げる。

人を殺しといてくるってやがる。

ぼくもふわりも空間に置いてかれたように硬直している。大男の「がはは」という猛々しい笑い声と悲鳴のような喧騒が車内に響いた。そんな異常な時間がしばらく続いた。

「おまえは、漢か？」

大男はそう言った。

ぼくはしばらく呆気に取られていたので、反応に遅れた。

「おまえは漢なのか？」

大男はやはりぼくに言っているようだ。

「はい」

「なら、今から俺様と戦え！」

何を言ってるんだ、こいつは。

「じゃ、こうしよう。今から俺様と戦わねぇなら、今からバスの乗客全員を殺す！」

「何言ってるんだ、あんた！正気か！」

「おい、バスの運転手！今すぐ路肩に止めろ！」

「は、はあーい？」

運転手の情けない声と共にバスは路肩に止まる。

すぐに扉が開くと乗客達は我先と言わんばかりの勢いで外に出る。

乗客はぼくとふわりと大男だけが残った。

「待て！戦うってどうやってだ？」

なにか言葉を発してないとおかしくなりそうだ。

「ああ！？拳と拳に決まってんだろうがよ！」

マジかよ。本気で言ってんのか。

「ちょっと待ちなさいよねぇ。人のことが言えないなぁ。まったく君ってヤツは、、、殺しちゃってもいいんだよぉ？」

ぶっ殺されたと思っていたロン毛が立ち上がるとそう言った。

「テメェみてぇな快楽殺人者と一緒にするんじゃねぇよ！オレ様の直感がいってる！こいつと今戦えと」

なにいってんだ、こいつら。もう、なにがなんだか。

「まあ、どっちでもいいけどよ。そこの嬢ちゃんはぼくがもらうよ」

「好きにしろ」

「なに、勝手に話進めてんだ！くそったれ！」

「やる気出したのか、オラァ！」

大男はぼくのほうへ拳を振り上げる。

ぼくはとっさにガードを試みる。

重い一撃がぼくの腕に直撃する。痛みは感じないが、にぶい音が車内に響く。腕が折れているのは間違いないだろう。

「なんだ、その程度か」

「さっさとそいつを殺ってくれよぉ。ぼくは早くそこの嬢ちゃんをぼくのものにしたいんだ」

「ふざけんなよ！ロン毛！ふわりに手を出してみろ、そんときはお前が死ぬときだ！」

「ああ、なんか雑魚がほざいとうわ。ぼくがきみを殺してもいいんだよ」

ぼくの理性はシャットアウトした。本能のままにぼくはロン毛に殴りかかった。

ぼくの拳はロン毛の顔面に思いっきりクリンヒットした。そのまま何度も何度も殴った。やがてロン毛はぴくりとも動かなくなった。

プライドポテト

「プライドポテト」

きみの気持ちも知らず
オナニーばっかりねと。
自分のやりたいことも
何にもできてないのにね。
きみを傷つけるよりも
自分自身のプライドから逃げることのほうが
悔しいと感じてる

フライドポテトをかりかりに
あげて　きみにあげたい
プレゼントの一部は
ぼくのおもいあがりかい
必死に一晩中
きみにあてた手紙は
もう読まれることもなく
ゴミ箱に捨てる　No

今日もだれかがきっと　男のエゴってやつのせいで
泣いて　泣き疲れて　ひどい顔をしてる
古い荷物を捨てるのも
大事にとっておくのも
ぜんぶ　ぜんぶ　きみが決めることなんだ

オナニーばっかりで　だめだめな
ぼくの　背中がダサいかい
きみに示せる　思いってやつは
へたくそな歌に　呆れるほど
伝えれたかい

フライドポテトをかりかりに
あげた　きみにあげたい
ぼくのプレゼントは
骨董屋に売るのかい

フライドポテトを。

かりかりにしあげた
いかりやにくしみも。
きみと一緒に食べたら、、

フライドポテトを

きみと一緒につついて
今日も。あしたも。
明後日も。
きみとこうして、、、

かりかりにしあげた
たくさんの愛情は
しなることはあるけれど
きみとなら美味しく食べれる

きみのうそやきたないものに
ふたをすることなどできはしないけど。
それを半分　食べてやるから
ぼくのそばにいて
ぼくのうそやきたないものも
食べてくれないか

プライドポテトを。

「キュン キュン レボルーション」

「キュン　キュン　レボルーション」

キュンとしてギュンと
見つめあったら
シュンとしたときも
キュンてなるね

キュンキュン(キュンキュン)、、、
はい、、、
キュンキュン　(キュンキュン)
、、、、

シュンとしたトキは
きみを見つめるの
キュンとしたわたしを
抱きしめて
ください

キュンキュン(キュンキュン)、、、
はい、、、
キュンキュン(キュンキュン)
、、、

キュンとしてキュンと
抱きしめあったら
きみのヒトミに
わたしが映るの

キュンとしてキュンと
はい、、、
キュンとしてキュンと、、
ハッスル、、、

キュンキュン(キュンキュン)、、、
はい、、、

シュンとしたときは
あたまをなでて
くださいね

キュン

「カイロ」

「カイロ」

あまずっぱいKissで言い訳
のつもりですか？
とろけそうになるカラダ(wow)
ココロまではあげないわ

地下鉄の始発はまだ
wow なにをしてつぶそうかしら
誘ってなんかないし

ホテルの灯りがふたりのカラダをあたため
ホントにほしいとこには　当たらない　
気持ちよくなんか　ないわ

こんなやるせない気持ちになるなら
ふたりの夜に変化なんてなくたって
生きていくだけです。

自分で光合成して生きていくね。
別にきみじゃなくてもいいよ。
自分で光合成して生きていくね。
そうやってずっと生きてきたんじゃないの。

寒さを感じる季節だから
だれかにあたためてほしかったのよ。
別にきみじゃなきゃダメって
ことじゃないのよ。
勘違いしないでね。

自分で光合成して生きていくね。
別にきみじゃなくてもいいよ。
自分で光合成して生きていくね。
そうやってずっと生きてきたんじゃないの。

カイロと同じよ。あまり変わらないわ。
カイロと同じよ。あなたなんて。
そんなんで十分よ。
カイロと同じよ。わたしなんて。
あなたにとって。
わたしはカイロですか？

思考回路はいつも　あなたなんて。
わたしなんて。

たい焼き食べたいや

「たい焼き食べたいや」

ただ、きみのそばで
let.s drink coffee なんて、、、
その前に取り残された
昨日のぼくを蹴りたい

伝えたい言葉が
渋滞注意報　交通整理は
一向に進んでないみたい

昨日のぼくが忘れていた
残業整理は
今日のぼくが担当
ちゃんとせなあかんのにな、、
今日も残業　終電逃すしなぁ

ただ　きみのそばで
笑ってたいな　night
ﾅｲﾄ 武士道の精神は知らないが
きみを守りたいや
タイヤは破裂してるや

たい焼き　食べたいや
きみと　食べたいや
あの店の　たい焼き
大衆居酒屋のたい焼き
きみと食べたい　たい焼き
たい焼き　食べたいや
食べればいいんじゃん
でも　きみと連絡つかんし
つか　きみと連絡
半月もしとらんし

たい焼き食べたいや
急にどうしたんや？って思うやろ
でも　たい焼き食べたいや
たい焼き食べれないか？
きみと食べれないか？
きみと食べたい　たい焼きがある

そんなことより、きみを食べたい
なんて　いったら
きっと怒られるから

ただきみと一緒にたい焼き食べたいや
たい焼き食べたあとで
Let's rest at the hotel
なんてどうでしょう？

たい焼き食べたいや
きみと食べたいや
たい焼き食べたいや
きみを食べたいや

「満たされたい、、、」.

2番目じゃイケないんですか？
2番目じゃイケないんですよ。
1番になりたいから
オンリーワンを選びました。

2番目じゃイケないんですか？
2番目じゃ負け犬ですか？
明日くらいに
月に行きたい

あそこでもちをついてるのは
現実逃避したいからですか？
あそこでもちをついてるのは
この世じゃいちばんになれないから

ta.....

2番目じゃイケないんですか？
2番目じゃイケないんですよ。
2番目じゃイケないんですか？
2番目じゃイケないんですよ。

ta...

欲しいものは欲しいといったらいけないんですか？
好きなあなたとコーヒーを飲みたいだけです。
いつまでもじゃれあってたいだけです。
同級生でいちばんになりたいだけです。
好きな音楽でくっていくだけです。
小説を書くだけです。
YouTubeを配信するだけです。
なんでもかんでも自分の思い通りにしたいだけです。

2番目じゃイケないんですよ。
プライドが許してはくれない。
2番目じゃイケないんですよ。
なんでもかんでも
自分の思い通りにしたいだけです。

檻！檻！檻！が！
俺！俺！俺！の心をしばる
おまえ！おまえ！だけが
欲しいと言っている
自分を通したか！
檻！檻！が！
テメェの生き方にケンカを売る！
俺！俺！が！
あきらめちまったもんが！
きっといまの情けねえ
自分を作ってきた！

2番目じゃイケないんですよ。
あきらめがつかないんですよ。
情けなくてもいいんですよ。
ぼてぼてのヒットでもいいんですよ。
ピエロだと馬鹿にされても
テメェの信じるメロディをかなでろ！

俺！俺！俺！、、、、、、、

『いろ』

『いろ』

幸も不幸もない。
ただ、今がある。
今を生きている。
生きているだけだ。
息をしているだけだ。
自然と一体化しているだけだ。

わたしというたましいが
ここにあるということだけだ。
父と母が愛し合ってわたしが
産まれた。
それだけだ。
わたしは今を生きている。

だれかが言ったんだ。
あの世ってなんだろう？って。
わたしは答える。
なにもない世界だよって。
そこは真っ黒でも真っ白でもない。
だれもいないんだよ。
なにもないんだよ。
ずっと、ひとり。
わたしというたましいが、ずっとひとりぼっちなんだ。

だれかが言ったんだ。
この世ってなんだろう？なんのためにあるの？と。
わたしは答える。
それは知らないけど、いまわたしとあなたが見つめあっているということ。
会話をしているということ。
そして、わたしというたましいがたくさんあるということ。

同じような色がたくさんあるの。
それはとてもきれいで、だけど油断するとすぐ汚くなるの。
だから、花に水をあげるように大事にしなきゃいけない。
自分をいたわらなきゃすぐきばんでしまう。
だけど、いろいろなわたしが
わたしのそんな部分に優しくそっと
水を与えてくれた。
だから、その恩返しをしなくちゃいけないと
思うの。

わたしとわたしの交流は
時にははげしくぶつかり、
互いに互いを傷つけ合うの。
元は同じはずなのに。
同じいろだったはずなのに。

それでもわたしは
『我』を通してしまうの。
そんな自分がときには嫌になるけれど、
そのときの自分の気持ちを裏切りたくはないから、
また大事にとっておいて。

わたしのおろかしさをゆるすみたいに、
ほかのわたしもゆるしていけばいい。
ゆるしていけばいいの。
代わりに与えてやればいいの。
お返しを望んではだめよ。
きっと返ってはこないから。

返ってこないから。
かなしい。
けれど、与える喜びも同じだけ
あるはずよ。
それを忘れちゃだめよ。

しあわせだってこと忘れちゃだめよ。

『幸も不幸もない世の中』だから、
みんな平等にくるしむの。
くるしみこそが生きるということだから、
しあわせはどこにもない。
けど、しあわせはどこにもないんだから、
みんなしあわせでもあるの。

パンは平等に分けられなかったわ。
6等分したうちの3つをあいつは
とっていったわ。
おかげでほかのわたしが苦しむことになるの。
けどね、覚えていてね。
みんなで分け与えたパンの味を
あいつは知らないわ。

だれかが言ったんだ。
あいつはなんであんなことをしたんだ？って。
わたしは答える。
同じことをあいつにされたからって。
だから、あいつのことはうらまずに
ただじっとしあわせをかみしめようと。

ただ生きている。
幸も不幸もない世界を。
がむしゃらに。
時には傷つきながら。
だれかを恨みながら。
うらやみながら。
けど、だれもがそんな時を
生きている。
平等に。
生きている。
生きている。
生きている。