「ZeTMAN-ゼブンジャー 序章14〜
その男にふわりが気づき、ふわりの手から不穏を感じる。ぼくはそれを受け取ると、男に注視する。
黒髪のロン毛の男は、黒いシルクハットをかぶっており、黒のチェックシャツと黒のチノパンを着ている。そのコーディネートは、オシャレと形容できる。偏見だが、独特な声のボーカリストを感じさせる。ミステリアスな魅力を感じる。同時に直感がいっている。気持ちが悪い。なにか悪寒のようなものを感じさせる。
「、、、っすんなよな」
男がなにかを呟いている。ぼくは思わず、ふわりの方を見る。ふわりの顔に不安がにじむ。繋がれた左手に「大丈夫だよ」と、語りかける。言葉にはできないのだが。
「君たちはなにも分かってないなぁぁぁ。ホント、困った子だよなぁぁ」
まとわりつくような声を男が発する。ぼくは恐る恐る男の方を見た。
「、、、なんだよ。見るんじゃないよぉぉぉ」
と男は奇声を放つと、ニッと笑った。
「そこの子、ぼくのタイプだなぁぁぁ。ねぇぇ
いいじゃないかぁ。その怯えたような顔さぁぁ。
いいね。そそるねぇぇえ」
「いい加減にしやがれぇ。殺すぞ!」
ぼくはぎりっと男をにらみつける。そのくせ、足が震えている。
「なんだってぇぇえ。このぼくにケンカを売ろうってのかいぃ。面白いねぇぇぇえ」
「おい、テメェ問題起こすんじゃねえぞ!」
ロン毛の男の前に、ボディビルダーのようなすごい
筋肉の大男が立っている。
「うるさいなぁぁ。うるさいから、きみも殺っちぁおっかなぁ」
「テメェ、ここで殺ってもいいんだぞ!」
「きみにこのぼくが殺れるとでもぉ?」
「殺す!」
大漢の高速の拳がロン毛に直撃する。ロン毛は勢いよく吹っ飛ばされ運転席横にあるお金を入れる機械に直撃する。車内が混乱に包まれる。ロン毛の漢はぴくりとも動かない。